2016年9月29日木曜日

少し疲れたときはポール・ルイスのベートーヴェンを

最近クラシックを聴く機会がほとんどなく、聴いたとしてもピアノ曲が多くなっている今日このごろ。論理的に演奏を比較したり、聴き分けるだけの耳を持ち合わせていないのですが、感覚的に好きなピアノの音色があり、最近はポール・ルイスがお気に入りです。

ポール・ルイスは1972年リバプール生まれ(年齢は私の一つ先輩)。父親は湾岸労働者であり音楽(とりわけクラシック)とは無縁の家庭ながら、8歳の頃には図書館でクラシックのレコードを借りていた彼は、12歳のときに正式なピアノ演奏を習い始めたそうです。いまや中堅ピアニストの中でも傑出した存在である彼の演奏の特徴は、一言で言うと「男性的な響きなのに柔らかく優しい」演奏です。曲をディフォルメしたり、自己(エゴ)をだすために特徴的な演奏をしないのは、恵まれたとはいえない環境で培ったクラシックへの愛情と作品への敬意がそうさせているのでしょうか?

iphoneに入れた彼のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集とシューベルト・ピアノ・ソナタ選集は、ひととき通勤時のお供に聴いていました。正直に言ってベートーヴェンやシューベルトのピアノ・ソナタは得意でないのですが、彼の演奏だと心地よく響くため聴き通すことができます。ひとによっては個性に乏しいと感じるような空気感…それが最大の魅力だとおもいます。

ビエロフラーヴェク&BBC響と録音した、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集もピアノの響きがとても美しく非常に気に入っています(ときどきオケがうるさく感じる部分があるのですが…それを差し引いてもとても素敵な演奏です)。ちょっと疲れて「襟を正さず自然体で聴くベートーヴェン」を欲しているときはかならず聴いています。




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