2015年5月9日土曜日

セロニアス・モンクのいた風景

あっという間にゴールデンウィークが終わり、5月も3分の1が過ぎようとしています。おかげさまでクリニックも開院1年が過ぎ、多くの患者さまに受診していただけるようになりました。忙しく仕事ができる喜びを感じています。連休は昨年に続き、軽井沢で過ごしてきました。昨年の教訓を活かしてほとんど渋滞に遭遇することなく移動ができ、ゆっくりと英気を養うことができました。

軽井沢では村上春樹編・訳の「セロニアス・モンクのいた風景」を読んできました。セロニアス・モンクというと「風変わり」とか「異端」というキーワードが浮かぶジャズ・ピアニストの巨人(手垢のついた表現になりますがレジェンド)のひとりです。CS放送のミュージック・エアでライブ映像を観たり、CDも何枚も聴いているのですが、いまいちピンとこないピアニスト(あくまで個人的主観です)でした。そんなセロニアス・モンクについてリアルタイムで触れ合った音楽家、評論家、パトロンなどの文章を村上春樹が翻訳し、個人のエッセイを加えた1冊です。セロニアス・モンクに対するそれぞれの立場からの評論はおおむね好意的なものであり、その先進性と特異性がジャズを更なる次元に導いたという印象があります。興味深いエピソードはマイルス・デイビス楽団をクビになった若きジョン・コルトレーンとのやりとり(このふたりが共演した音源はほとんど残っておらずどんな演奏をしたのか気になります)やダウンビート誌がおこなった「ブラインドフォールドテスト」での歯に衣着せぬ言動(「私はすべての音楽が好きだ」という言葉で許してもらえる…はずです)などでした。

村上春樹の私的レコード案内…あくまで私的であるといつもの春樹節(このうねうねとした言い訳がとても好きです)でアルバムを聴き直してみようという気分になります。

私のセロニアス・モンクのベストアルバム、あくまで私的ということで、名作とかこの奏法がすごいなどという一般的評価とは関係なく、僕にとっての「セロニアス・モンクのいた風景」は《Criss-Cross》です。いろいろな意味でモンクらしくない聴き易さがあるからです。


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