2015年5月24日日曜日

すべては野茂英雄からはじまった。Number877

5月もあっという間に最終週になってしまいました。今週末は年に一度の皮膚科学会総会(一番大きな学会)が横浜で開催されます。今年は講演もなく、ゆっくりと参加しようと思っています。

クリニックはおかげさまでカルテ番号が1900を越えました。3月に1500台になってから約2か月でここまで順調にこれたのは患者さま、スタッフ、家族に支えていただいたからと思っています。少しずつですが市ヶ谷の皮膚科として認識していただけるようになってきたかな?と感じています。これからも丁寧な診療を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

今日は珍しく野球の話題です。最近はめっきりと観ることが少なくなった野球ですが、20年ほど前は野球場に足を運んだり、テレビで楽しんだりしていました。後楽園球場の近くに住んでいたため野球場は身近な存在であり、球場の独特な熱気をいつも肌で感じて過ごしていました。その中でも野茂英雄という存在はアメリカメジャーリーグ(MLB)のパイオニアとしてはもちろん、独特のフォームや寡黙で羨ましいほど野球を愛してやまない姿勢(良い意味での野球バカ)、自分にはないところをたくさん持つ存在として敬愛する野球選手のひとりです。

デビュー年である90年4月29日の1試合17奪三振(オリックス戦)に始まり、あの独特なトルネード投法は20年以上経ったいまでも鮮烈に覚えています。その後、95年にロサンゼルス・ドジャースでの初登板、コロラドやボストンでのノーヒット・ノーラン、野茂のホームラン(彼こそがMLBで初めてホームランを打った日本人です)などなど、その瞬間をライブで観ていたことを思い出されます。唯一の心残りは、96年夏にろロサンゼルスに留学中の姉夫婦のところに遊びに行った際、ドジャー・スタジアムに観戦に行った日が野茂の登板した次の日だった…という点です。ノモフィーバーに湧くスタジアムで観戦したかったな。

遅ればせながらNumber877を読ませてもらって、引退直後にでたNumber714での野茂英雄のインタビューと比べてもいまだ衰えることのない野球の情熱がひしひしと伝わってきて、本当に素晴らしい野球バカだなとおもいました。私も医療について飽くなき診療バカでいつづけられるのか…これはとても大事なことです。

(文章を書くにあたり敬称を省略させていただいております)



2015年5月15日金曜日

淡麗極上〈生〉とピア・アンジェリ

夏が近づくとビールや発泡酒のCMが幅を利かせるようになり、暑い季節の到来を教えてくれます。そんな発泡酒のCMできになる音楽といえば、淡麗極上(以前は麒麟淡麗)〈生〉の"Volare"。発売当初からジプシー・キングスの鮮やかな歌声が耳に残るもので、Wikiによると2004年〜2007年を除いてこの曲がずっとテーマソングになっているようです。今年は船乗りの合唱バージョンのようですが、また淡麗のCMねって感じがしてます。

その"Volare(ヴォラーレ)"という曲はジプシー・キングスのオリジナルといっても信じてしまいそうにしっくりする歌・演奏ですが、実はカンツォーネで1958年の曲です。個人的にはピア・アンジェリの元気で初々しく歌っている曲なのです。

ピア・アンジェリの《イタリア》という(個人的に)美ジャケの頂点にあると思っているアルバムの1曲目にこの曲が収録されています。ピア・アンジェリ(1932〜1971)は歌手ではなく女優さんで、かのジェームス・ディーンの恋人だったということでも有名な美人さんです。ブルネットの髪と大きな瞳が特徴的なピア・アンジェリにはこれといった代表作(「ソドムとゴモラ」や「傷だらけの栄光」などに出ています)もなく、ジェームス・ディーンと悲恋に終わった後に結婚したのですが上手くいかず42歳で自殺してしまっています。そんな彼女の唯一のアルバムはイタリアのアイドルとしてもてはやされていた1959年の作品です。

ピア・アンジェリを知ったのは中学生の頃、キラー通りにあったOn Sundaysという雑貨屋さんにあった葉書を手にとったとき…それからほどなくしてこのアルバムを知り、オリジナル盤をいつかこの手にと思いつつ30年近く経ちましたが、このアルバムへの思いは昔も今も変わりません。




2015年5月9日土曜日

セロニアス・モンクのいた風景

あっという間にゴールデンウィークが終わり、5月も3分の1が過ぎようとしています。おかげさまでクリニックも開院1年が過ぎ、多くの患者さまに受診していただけるようになりました。忙しく仕事ができる喜びを感じています。連休は昨年に続き、軽井沢で過ごしてきました。昨年の教訓を活かしてほとんど渋滞に遭遇することなく移動ができ、ゆっくりと英気を養うことができました。

軽井沢では村上春樹編・訳の「セロニアス・モンクのいた風景」を読んできました。セロニアス・モンクというと「風変わり」とか「異端」というキーワードが浮かぶジャズ・ピアニストの巨人(手垢のついた表現になりますがレジェンド)のひとりです。CS放送のミュージック・エアでライブ映像を観たり、CDも何枚も聴いているのですが、いまいちピンとこないピアニスト(あくまで個人的主観です)でした。そんなセロニアス・モンクについてリアルタイムで触れ合った音楽家、評論家、パトロンなどの文章を村上春樹が翻訳し、個人のエッセイを加えた1冊です。セロニアス・モンクに対するそれぞれの立場からの評論はおおむね好意的なものであり、その先進性と特異性がジャズを更なる次元に導いたという印象があります。興味深いエピソードはマイルス・デイビス楽団をクビになった若きジョン・コルトレーンとのやりとり(このふたりが共演した音源はほとんど残っておらずどんな演奏をしたのか気になります)やダウンビート誌がおこなった「ブラインドフォールドテスト」での歯に衣着せぬ言動(「私はすべての音楽が好きだ」という言葉で許してもらえる…はずです)などでした。

村上春樹の私的レコード案内…あくまで私的であるといつもの春樹節(このうねうねとした言い訳がとても好きです)でアルバムを聴き直してみようという気分になります。

私のセロニアス・モンクのベストアルバム、あくまで私的ということで、名作とかこの奏法がすごいなどという一般的評価とは関係なく、僕にとっての「セロニアス・モンクのいた風景」は《Criss-Cross》です。いろいろな意味でモンクらしくない聴き易さがあるからです。