2016年3月18日金曜日

おじさんはGLIM SPANKYになにを思うのか?

Apple MusicやAmazon Prime musicなどのストリーミング配信を使うようになってから、ディスクユニオンやタワーレコードのような店舗でアルバムを探す機会がめっきりと減っています。音楽配信されていないようなレア音源や新譜でどうしてもほしいものがある場合はCDを購入することもあるのですが、音にこだわらなければだいたいのものが揃ってしまう(おまけに曲名でいろいろな演奏を瞬時に探すことができる)ため、ジャズやクラシックの同曲異演を簡単に比較できたり、かつて聴いていた(持っていた)アルバムなども再び聴くことができます。本で予習をしてから、お店でゆっくりと音盤を吟味し、ジャケ写やアーティスト・編成、曲名、演奏時間などからどんな演奏かと思いを巡らせて、悩んだすえに購入する…という、ある意味「儀式」のような楽しみはなくなっていますが、音楽の興味の幅は少し広くなった気がします。

GLIM SPANKYという2人組バンドを知ったのは、偶然観たBS放送でみうらじゅんのおすすめとして《焦燥》のPVをみてから。松尾レミの歌声はどこか荒井由実に似ていて、曲調も懐かしさとキャッチーさを感じさせつつ重厚なサウンドだったのが印象的でした。自分が感じてきた「葛藤」や「もがき」(これらはどこにもぶつけることなく過ぎ去ってきましたが…)を体現しているようで、年齢を重ねて「おじさん」になった耳にも心地よく響いていたのを覚えています。

もともとジャパニーズロックというジャンルに詳しくなく、アルバム購入することは殆ど無かったのですが、GLIM SPANKYの場合は、その後たまたまCS放送(スペースシャワーTV?)でPV特集をやっていたのを観て、他の曲も気になったのでダウンロードして聴いています。《焦燥》《大人になったら》《さよなら僕の町》《ロルカの歌》など彼女たちが高校生や大学生の頃の曲はブルースを基調としたアコースティックな作りです。新しいサウンドなのに、あたかも自分の青春時代に感じたやるせなさ・焦燥感・不満などを代弁したような歌声とサウンドは、おじさんの心のなかにもすっと入ってきます。《リアル鬼ごっこ》、《褒めろよ》や《ワイルドサイドを行け》などキャッチーな曲も聴き応えありました。ただ、GLIM SPANKYがカバーする荒井由実の《ひこうき雲》は、ユーミンの歌声の刷り込みがあるため、立派すぎてちょっとだけ違和感を感じました。