2014年10月2日木曜日

開業半年をむかえて - ショスタコーヴィチとジャレットと

早いもので4月の開業から半年が経過してしまいました。あっという間という気もしますが、正直時間を持て余していたので長かったような気がします。

4月、5月は患者さんが少ない日が多く、一日が終わるたびに一喜一憂していました(いまもあまり変わらない…かもしれないですが)。6月以降は少しずつ安定しているようですが…何が安定なのだかもはやわからないので、ひとりひとりしっかりと診察することだけを心がけています。開業の大変なところは、勤務医では考えなくても良い職員の給料・雇用、クリニックの収益や仕入れなど経営者としての側面があり、単純に医療だけを考えれば良いのではないという点です。よりよい医療を提供することは当然ですが、大学病院に在籍していたときのように高額の機器や機材を湯水のように使うわけにもいかず、かといって収益重視と割りきって医療することは本末転倒なので、いままで味わったことのない悩みを抱えているところです。
この半年で少ないながらも770名の新規患者さんと接し、(まだまだ治療が難しい疾患や原因が特定できない疾患などもあり、)全ての患者さんの欲求を満たすことは難しいのですが、ひとりでも多くの方に診療してよかったと感じてもらえる医療を提供してきたと思っています。これからもいままでと変わらないスタンス(ルーチンの仕事としてではなく、楽しみ・喜びを感じながら医療に携わってきたこと)で、微力ながらも患者さんの期待に添えるようにがんばろうと思った次第です。
そんななか、キース・ジャレットのショスタコーヴィチ《24の前奏曲とフーガ》を流していて、この曲がこんなにきれいな音楽だったんだと再確認することができました。ジャズのピアニストが演奏するクラシックは聴くに堪えないという意見もあることははわかっているのですが、キースのピアノの良い意味での朴訥さや耳通りの良いピアノの音はクラシックというジャンルを超えて、ひとつのピアノ音楽として完成しているものだと思います。待合室に流すBGMとしては最適なもので、最近のお気に入りです。