2015年10月30日金曜日

酒さの原因はなに?リスク回避法は?

本当に久しぶりのブログです。今回は皮膚科らしい学術的なお話をしたいと思います。

「酒さ」は血管拡張することで鼻や顔が赤くなり、あたかもお酒を飲んだような赤い顔になってしまう病気です。進行するとにきびのような赤い丘疹ができ、なかなか治らない慢性疾患としても知られています。当クリニックでは酒さ治療としてロゼックスゲル®(メトロニダゾール)外用などを含めた内服・外用治療ならびにをおこなっておりますが、根治に至ることが難しい疾患でもあります。

そんな「酒さ」はどんな原因でできるのか…そんな疑問に答えてくれる論文が最近発表されたので、エッセンスをお伝えしたいと思います。JAMAというアメリカの著名な皮膚科雑誌に掲載された論文で、18〜80歳までの一卵性双生児233組、二卵性双生児42組を対象に病歴と生活習慣についての調査をおこない、その結果をコホート研究(疾病発生と要因の関連性を調べる観察的研究のこと)にてまとめています。

結果を簡単にまとめると、46%が遺伝に関与しており、生活習慣では紫外線暴露(日焼け)、加齢が大きく相関しています。その他、肥満(BMI)、喫煙、飲酒、心疾患、皮膚がんなども関連しているそうです(肥満、心疾患の因果関係ははっきりしていません)。

「酒さ」は遺伝や加齢が大きく関与している疾患ですが、日焼け、喫煙、飲酒などの生活習慣を改めることでリスク回避できる可能性があります。もし「酒さ」と診断された、あるいは家族に「酒さ」と診断された人がいる場合、日焼け、喫煙、飲酒を控えることが大事です。

[参考文献]
N. Aldrich: Genetic vs Environmental Factors That Correlate With Rosacea: A Cohort-Based Survey of Twins: JAMA dermatology. 2015