2015年3月18日水曜日

John Coltrane - Lush Life

久々のブログ更新です。アルバム冒頭からジョン・コルトレーンの野太くセンチメンタルなソロが朗々と奏でられるこの盤は、後年のスピリチュアルなコルトレーンが苦手な人でも楽しめる1枚です。コルトレーンというと(良い意味での)黒さが全面に溢れており、「ジャズってこんな感じ」という漠然とした答えを導き出してくれるジャズ界の巨人です。ただ、だんだんとスピリチュアルで難解なフリー・ジャズに傾倒してしまうため、アルバムをたくさん持っていても手に取るアルバムが限られてしまうひとりでもあります。

1曲目《Like Someone In Love》から3曲目《There's Slow Blues》(LPでいうところのA面)はピアノレストリオであり、1957、8年あたりの録音と思えないほど臨場感あふれるコルトレーンのテナーが魅力です。4曲目の表題曲である《Lush Life》からはレッド・ガーランドのピアノが参加し、コルトレーンも甘くセンチメンタルな演奏を聴かせます。

A面B面という表現はレコードにしか通用しない表現ですが、盤をひっくり返すと雰囲気の違う演奏になるなんてとても素敵な選曲だなと思います。このような選曲から、今年のグラミーでプリンスが「皆さん“アルバム”って覚えていますか?“アルバム”って大事なものなんです」とスピーチしたことを思い出しました。いまはストリーミングなどで気に入った曲だけピックアップでき便利なのですが、取捨選択するのではアルバムのコンセプトだけでなく「演奏(録音)された時代や背景を反映している空気」というものもわからなくなるので好きではありません。

このアルバム...というよりコルトレーンは秋〜冬になる時期に流したほうが雰囲気あったかもしれないのですが、ともあれ午後の待合室を落ち着かせてくれる素敵な1枚です。



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