10月も20日を過ぎ、ようやく秋らしくなってきました。先週は休暇をいただき、疲れ気味だった心も体もリフレッシュしています。今週はたくさんの患者さんに来ていただき感謝しております。年末までこのまま頑張っていきたいと思います。
クリニックのBGMで主にジャズを流しているのですが、「この演奏はよいですね」とか「誰の演奏ですか?」と聞かれるのはピアノ・トリオがほとんどです。その中でもビル・エヴァンスの演奏の人気は非常に高く、抜群の安定感を見せてくれます(そういえば先日、本田竹曠の演奏を気に入って聞いてくれた方がいました)。ビル・エバンス(・トリオ)のすごいところは、音楽が鳴るとその空間がとても上質な落ち着いた世界に導いてくれる音楽であるというところ。ジャズを聴かないひとでも心地よく響くピアノは、エバンスにより完成した「ピアノで奏でるジャズ」の一つの完成形で、エヴァンス派(多くは耽美的なピアノを指す)というジャンルを形成しているくらいです。独特のサウンドは彼の没後35年以上経過しても色褪せず、いまだに未発表音源やライブ音源が次々発売されています。
ビル・エヴァンス・トリオといっても、ピアノのビル・エヴァンス以外のベースやドラムは活動時期により変わっており、詳しい人は「スコット・ラファロ、ポール・モチアンの第1期トリオがよい」とか「エディ・ゴメスとの円熟した演奏も捨てがたい」などと追求していく楽しみもあります。
「Some Other Time」(MPS)というアルバムもそんな幻の音源(さらにスタジオ録音)であり、ドラムがジャック・ディジョネット(キース・ジャレット・トリオで有名)、ベースがエディ・ゴメスという6ヶ月ほどしか活動していないレアなトリオということで話題になったアルバムです。1968年のモントルー・ジャズ・フェスティバル後に収録されたこの音源は、契約レコード会社(Verve)との関係で、日の目を見ることがなかったようです。演奏はジャック・ディジョネット、エディ・ゴメスという若いサイドメンとの演奏ながら、スタジオ録音ということもあり、とても穏やかで落ち着いた演奏です。"I'll Remember April"、"My Funny Valentine"、"In a Sentimental Mood"、"On Green Dorphin Street"などミディアムからスローテンポの名曲から、"Very Early"、"Some Other Time"といったエヴァンスらしい曲までどれも美しく、BGMには最適です(全体的に似た感じなのでアルバムとしては物足りないと思うひともいるでしょう)。
2016年10月21日金曜日
2016年9月29日木曜日
少し疲れたときはポール・ルイスのベートーヴェンを
最近クラシックを聴く機会がほとんどなく、聴いたとしてもピアノ曲が多くなっている今日このごろ。論理的に演奏を比較したり、聴き分けるだけの耳を持ち合わせていないのですが、感覚的に好きなピアノの音色があり、最近はポール・ルイスがお気に入りです。
ポール・ルイスは1972年リバプール生まれ(年齢は私の一つ先輩)。父親は湾岸労働者であり音楽(とりわけクラシック)とは無縁の家庭ながら、8歳の頃には図書館でクラシックのレコードを借りていた彼は、12歳のときに正式なピアノ演奏を習い始めたそうです。いまや中堅ピアニストの中でも傑出した存在である彼の演奏の特徴は、一言で言うと「男性的な響きなのに柔らかく優しい」演奏です。曲をディフォルメしたり、自己(エゴ)をだすために特徴的な演奏をしないのは、恵まれたとはいえない環境で培ったクラシックへの愛情と作品への敬意がそうさせているのでしょうか?
iphoneに入れた彼のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集とシューベルト・ピアノ・ソナタ選集は、ひととき通勤時のお供に聴いていました。正直に言ってベートーヴェンやシューベルトのピアノ・ソナタは得意でないのですが、彼の演奏だと心地よく響くため聴き通すことができます。ひとによっては個性に乏しいと感じるような空気感…それが最大の魅力だとおもいます。
ビエロフラーヴェク&BBC響と録音した、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集もピアノの響きがとても美しく非常に気に入っています(ときどきオケがうるさく感じる部分があるのですが…それを差し引いてもとても素敵な演奏です)。ちょっと疲れて「襟を正さず自然体で聴くベートーヴェン」を欲しているときはかならず聴いています。
ポール・ルイスは1972年リバプール生まれ(年齢は私の一つ先輩)。父親は湾岸労働者であり音楽(とりわけクラシック)とは無縁の家庭ながら、8歳の頃には図書館でクラシックのレコードを借りていた彼は、12歳のときに正式なピアノ演奏を習い始めたそうです。いまや中堅ピアニストの中でも傑出した存在である彼の演奏の特徴は、一言で言うと「男性的な響きなのに柔らかく優しい」演奏です。曲をディフォルメしたり、自己(エゴ)をだすために特徴的な演奏をしないのは、恵まれたとはいえない環境で培ったクラシックへの愛情と作品への敬意がそうさせているのでしょうか?
iphoneに入れた彼のベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集とシューベルト・ピアノ・ソナタ選集は、ひととき通勤時のお供に聴いていました。正直に言ってベートーヴェンやシューベルトのピアノ・ソナタは得意でないのですが、彼の演奏だと心地よく響くため聴き通すことができます。ひとによっては個性に乏しいと感じるような空気感…それが最大の魅力だとおもいます。
ビエロフラーヴェク&BBC響と録音した、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集もピアノの響きがとても美しく非常に気に入っています(ときどきオケがうるさく感じる部分があるのですが…それを差し引いてもとても素敵な演奏です)。ちょっと疲れて「襟を正さず自然体で聴くベートーヴェン」を欲しているときはかならず聴いています。
2016年8月29日月曜日
ジョン・レイニーのレア盤?
あっという間に8月が終わろうとしています。クリニックでは患者番号が5000を越えました。2年と5ヶ月弱…早かったのか遅かったのかわかりませんが、それだけ多くの患者さんに来ていただけて感謝しています。「肌トラブルがあったらまた受診したい」と思える診療をしていきたいと日々頑張ってまいります。
今年の夏…と括ってしまうには早いのですが、夏らしい期間が少なかったような気がします。8月後半は台風が上陸すると言われてびくびくしていましたが、クリニックへの影響はあまりなくホッとしています。
今日の1枚はジョン・レイニー(Jon Raney) "Waltz for Talia"です。自主制作盤のためスリムケースに入っていおり、メンバーも誰一人わかりませんが、演奏はとても上質の大人なピアノ・トリオです。1曲目の"Waltz for Talia"は娘に捧げた曲で、とてもリリカルで美しい曲で魅了されます。6曲目"Dedicated to Bill"はビル・エヴァンスへ捧げた曲であり、彼の演奏はどことなくエヴァンスを感じさせる繊細さと美しさにあふれています。ブルージーな曲でも荒々しくなりすぎることはなく心地よく響くため、クリニックのBGMとしても最適です。
レア盤ということなのですが、Apple Musicでも手軽にダウンロードできるので、多くの方に聴いてもらいたい1枚です。
今年の夏…と括ってしまうには早いのですが、夏らしい期間が少なかったような気がします。8月後半は台風が上陸すると言われてびくびくしていましたが、クリニックへの影響はあまりなくホッとしています。
今日の1枚はジョン・レイニー(Jon Raney) "Waltz for Talia"です。自主制作盤のためスリムケースに入っていおり、メンバーも誰一人わかりませんが、演奏はとても上質の大人なピアノ・トリオです。1曲目の"Waltz for Talia"は娘に捧げた曲で、とてもリリカルで美しい曲で魅了されます。6曲目"Dedicated to Bill"はビル・エヴァンスへ捧げた曲であり、彼の演奏はどことなくエヴァンスを感じさせる繊細さと美しさにあふれています。ブルージーな曲でも荒々しくなりすぎることはなく心地よく響くため、クリニックのBGMとしても最適です。
レア盤ということなのですが、Apple Musicでも手軽にダウンロードできるので、多くの方に聴いてもらいたい1枚です。
2016年2月20日土曜日
赤ちゃんはバッハがお好き?
土曜日はあいにくの雨ですが、新宿で東京・東部支部合同学術大会があったため、仕事帰りに少しだけ参加してきました。医局の前教授夫妻や医局の先生方にお会いできてとてもよかったです。
今日の1曲は、バッハの無伴奏チェロ組曲(全曲)。チェロ奏者のレジェンドであるパブロ・カザルスにより発掘・蘇演され、昔のクラシック本の言葉を借りると「チェロの旧約聖書」(この場合、「新約聖書」はベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集)とまで言われる曲となりました。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット(ブーレ・ガヴォット)、ジーグの6曲から編成される組曲が6曲で構成されており、6番のみいまは使用されない5弦楽器(チェロは4弦)を想定した作りになっています。番号が進むにつれて難易度があがり、5番(スコルダトゥーラという調弦をかえる奏法を使用する)を頂点としています。6番は深遠なアルマンドが美しい別次元の曲になっています。
なぜこの曲を選んだかというと、うちの子供(乳児)がこの曲を聴かせるとすやすやと眠るからなのです。少しむずかったりするときも、目が覚めたときでもこの曲を聴かせると落ち着いて静かになります。チェロの音域は男性の声に近く、チェロ組曲の曲調も落ち着くのかとても心地よいようです。この曲であれば何番でもよいようで、全曲リピートで聴かせています。大人からするとアルマンドが良さそうですが…まったく関係ないようです。
いろいろな演奏があるなかでもいちばんのお気に入りはアンヌ・ガスティネルによる演奏で、カザルスの歴史的名盤やチェロの伝導師エンリコ・マイナルディの深遠な深い演奏(古いサントリー山崎のCM「なにも引かない、なにも足さない」を地でいくようなモルトウイスキーのような漢字です)、中庸の美を地でいくようなポール・トルテュリエでもないようです。解説によるとガスティネルは2児の母であり、音にも母の優しさがこもっているのかな?なんて勝手に思いながら聴いています。
今日の1曲は、バッハの無伴奏チェロ組曲(全曲)。チェロ奏者のレジェンドであるパブロ・カザルスにより発掘・蘇演され、昔のクラシック本の言葉を借りると「チェロの旧約聖書」(この場合、「新約聖書」はベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集)とまで言われる曲となりました。プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット(ブーレ・ガヴォット)、ジーグの6曲から編成される組曲が6曲で構成されており、6番のみいまは使用されない5弦楽器(チェロは4弦)を想定した作りになっています。番号が進むにつれて難易度があがり、5番(スコルダトゥーラという調弦をかえる奏法を使用する)を頂点としています。6番は深遠なアルマンドが美しい別次元の曲になっています。
なぜこの曲を選んだかというと、うちの子供(乳児)がこの曲を聴かせるとすやすやと眠るからなのです。少しむずかったりするときも、目が覚めたときでもこの曲を聴かせると落ち着いて静かになります。チェロの音域は男性の声に近く、チェロ組曲の曲調も落ち着くのかとても心地よいようです。この曲であれば何番でもよいようで、全曲リピートで聴かせています。大人からするとアルマンドが良さそうですが…まったく関係ないようです。
いろいろな演奏があるなかでもいちばんのお気に入りはアンヌ・ガスティネルによる演奏で、カザルスの歴史的名盤やチェロの伝導師エンリコ・マイナルディの深遠な深い演奏(古いサントリー山崎のCM「なにも引かない、なにも足さない」を地でいくようなモルトウイスキーのような漢字です)、中庸の美を地でいくようなポール・トルテュリエでもないようです。解説によるとガスティネルは2児の母であり、音にも母の優しさがこもっているのかな?なんて勝手に思いながら聴いています。
2016年2月11日木曜日
Sweet Georgie Fameはどれがお好き?
ブロッサム・ディアリーの代表曲《Sweet Georgie Fame》は彼女の演奏も含めて大好きな曲ですが、モッズ・ムーブメントを代表するオルガニスト兼歌手であるジョージィ・フェイムに捧げる歌であると知ったのはつい最近のことです。いままで歌詞の内容を気にしなかったのもあるのですが、ジョージィ・フェイムを意識して聴いていなかったためかもしれません。この曲を最初に聴いたのは "Sweet Blossom Dearie"(1967)というアルバムに入っているもので、素敵なメロディと語るようにささやきながら優しい歌声がブロッサム・ディアリーのロリータ・ヴォイス(地声です)とマッチしていたことを覚えています。
このアルバムのLPオリジナル盤はいまでもリビングに飾っているほど好きなアルバムです…が、《Sweet Georgie Fame》の好きな演奏はというと、"Me and Phil" という1993年にメルボルンで録音された彼女のピアノとフィル・スコージーのベースという編成でゆったりと演奏されたものです。
《Sweet Georgie Fame》をピアノ・トリオで聴くとなると、元気いっぱいなテテ・モントリューやしっとりとしたルイス・ヴァン・ダイクのピアノも捨てがたいのですが、幻の女流ピアニスト(デビューから四半世紀消息不明だった…といっても音楽院教師をしていたそうですが)、デビー・ポーリスのデビュー盤 "Trio"(1982)に収録されているものが一番好きです。ベースでメロディを奏でるところから始まり、次第にデビー・ポーリスの優しいピアノの旋律が聴こえてくる、それはあたかも "Me and Phil" でブロッサム・ディアリーが歌うような密やかさがあって…聴いているだけでいつも幸せな気分になります。
このアルバムのLPオリジナル盤はいまでもリビングに飾っているほど好きなアルバムです…が、《Sweet Georgie Fame》の好きな演奏はというと、"Me and Phil" という1993年にメルボルンで録音された彼女のピアノとフィル・スコージーのベースという編成でゆったりと演奏されたものです。
《Sweet Georgie Fame》をピアノ・トリオで聴くとなると、元気いっぱいなテテ・モントリューやしっとりとしたルイス・ヴァン・ダイクのピアノも捨てがたいのですが、幻の女流ピアニスト(デビューから四半世紀消息不明だった…といっても音楽院教師をしていたそうですが)、デビー・ポーリスのデビュー盤 "Trio"(1982)に収録されているものが一番好きです。ベースでメロディを奏でるところから始まり、次第にデビー・ポーリスの優しいピアノの旋律が聴こえてくる、それはあたかも "Me and Phil" でブロッサム・ディアリーが歌うような密やかさがあって…聴いているだけでいつも幸せな気分になります。
2015年11月29日日曜日
Spike Wilner Trio - Live at Smalls
ニューヨーク、ウェスト・ヴィレッジ・7thアヴェニュー・サウスにあるジャズクラブ「Smalls」の共同経営者であり、ピアニスト、作曲家、ジャズ研究家など複数の肩書をもつスパイク・ウェルナーのトリオ盤。
トリオといってもピアノ、ベース、ドラムではなく、ピアノ、ベース、ギターであり、アート・テイタム、ナット・キング・コール、オスカー・ピーターソンなどでみられた、1930〜40年台あたりの古典的な編成である。このドラムレス・トリオはスパイク・ウェルナーの「ピアノが主役。ドラムやヴォーカルは入れない。」という経営方針にも現れているようです。アルバムではベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章やスコット・ジョプリンの「マグネティック・ラグ」からジェローム・カーンやコール・ポーターのミュージカル曲(ジャズ・スタンダードとして知られた曲)をpopular themeとして変奏曲にしたりしています。ピアノは雄弁に語りかけたり、音の強弱を奏でたりすることなく、控えめな音と少ない音数でリズミカルに演奏しています。ピアノソロに優しく寄り添うベースとギターはときに絡みつくように音を重ねていくさまは非常に心地よく感じます。
クリニックのBGMとしても主張し過ぎず、うるさ過ぎずで最適です。クリニックには小さい子供から高齢の方まで受診していただいているため、(音楽的には卓越していたとしても)新しいジャズやコンテンポラリー・ミュージックは音が先鋭的になりやすいためBGMになりにくいのですが、このアルバムならいろいろな年代の人に楽しんでいただけるのではと思います。
ディスクユニオンのエサ箱(セール品ですごく安かった)にあったもの購入したのですが、とても聴き応えのあるアルバムでした。冬の夜なんかに最適の1枚です。
トリオといってもピアノ、ベース、ドラムではなく、ピアノ、ベース、ギターであり、アート・テイタム、ナット・キング・コール、オスカー・ピーターソンなどでみられた、1930〜40年台あたりの古典的な編成である。このドラムレス・トリオはスパイク・ウェルナーの「ピアノが主役。ドラムやヴォーカルは入れない。」という経営方針にも現れているようです。アルバムではベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章やスコット・ジョプリンの「マグネティック・ラグ」からジェローム・カーンやコール・ポーターのミュージカル曲(ジャズ・スタンダードとして知られた曲)をpopular themeとして変奏曲にしたりしています。ピアノは雄弁に語りかけたり、音の強弱を奏でたりすることなく、控えめな音と少ない音数でリズミカルに演奏しています。ピアノソロに優しく寄り添うベースとギターはときに絡みつくように音を重ねていくさまは非常に心地よく感じます。
クリニックのBGMとしても主張し過ぎず、うるさ過ぎずで最適です。クリニックには小さい子供から高齢の方まで受診していただいているため、(音楽的には卓越していたとしても)新しいジャズやコンテンポラリー・ミュージックは音が先鋭的になりやすいためBGMになりにくいのですが、このアルバムならいろいろな年代の人に楽しんでいただけるのではと思います。
ディスクユニオンのエサ箱(セール品ですごく安かった)にあったもの購入したのですが、とても聴き応えのあるアルバムでした。冬の夜なんかに最適の1枚です。
2015年9月8日火曜日
雨の日のカノン
このところずっと雨が続いており、今年の夏はあっという間に過ぎていったようです。今日・明日は台風の影響もあり、時折強い雨が降っています。こんなに雨の日が続くと少し気が滅入るのですが、午後は久々にアン・バートンを流してまったりとしています。
今日の話題はアン・バートンではなく、パッヘルベルのカノンです。この曲も演奏スタイルによってはかなり変化があるのですが、弦楽オーケストラでゆったりと奏でるカノンは優雅でありなんとも言えない心地よさがあります。
そんなパッヘルベルのカノンで一番ゆっくりと演奏しているのは?と考えると…ゆっくりで有名なのはパイヤール盤なのですが、知りうる限りでは、ドゥアッテ盤が一番ゆったりとした演奏だと思います。9分2秒という時間をかけて間延びしないように丁寧に演奏しているこの演奏は、パイプオルガンで奏でているような通奏低音が印象的です。いつもはイル・ジャルディーノ・アルモニコのようなスッキリとした古楽アンサンブルを好むのですが、今日のような雨のまったりした午後にはゆっくりしたドゥアッテの演奏が恋しくなります。
指揮者のローランド・ドゥアッテはウィキペディア(フランス語)によると、フランスのヴァイオリニスト(独学!)・指揮者で、パリ・コレギウム・ムジクムを設立し、数多くのバロック音楽を録音しているようです。
この演奏が収録されているCDは、Accordレーベル原盤なのですが、なぜかオーリアコンブ(著名なフランスの指揮者)のバロック音楽名曲集の中に1曲だけドゥアッテ指揮のパッヘルベルのカノンが入っています。きっと一番ゆったりとしたカノンだと思います。
今日の話題はアン・バートンではなく、パッヘルベルのカノンです。この曲も演奏スタイルによってはかなり変化があるのですが、弦楽オーケストラでゆったりと奏でるカノンは優雅でありなんとも言えない心地よさがあります。
そんなパッヘルベルのカノンで一番ゆっくりと演奏しているのは?と考えると…ゆっくりで有名なのはパイヤール盤なのですが、知りうる限りでは、ドゥアッテ盤が一番ゆったりとした演奏だと思います。9分2秒という時間をかけて間延びしないように丁寧に演奏しているこの演奏は、パイプオルガンで奏でているような通奏低音が印象的です。いつもはイル・ジャルディーノ・アルモニコのようなスッキリとした古楽アンサンブルを好むのですが、今日のような雨のまったりした午後にはゆっくりしたドゥアッテの演奏が恋しくなります。
指揮者のローランド・ドゥアッテはウィキペディア(フランス語)によると、フランスのヴァイオリニスト(独学!)・指揮者で、パリ・コレギウム・ムジクムを設立し、数多くのバロック音楽を録音しているようです。
この演奏が収録されているCDは、Accordレーベル原盤なのですが、なぜかオーリアコンブ(著名なフランスの指揮者)のバロック音楽名曲集の中に1曲だけドゥアッテ指揮のパッヘルベルのカノンが入っています。きっと一番ゆったりとしたカノンだと思います。
2015年7月10日金曜日
旧友に出会う偶然とインプロヴィゼーション
7月はずっと梅雨空の雨続きでしたが、今日は晴れ間も出て夏を予感させる暑い一日になりました。本日は大学の外来もなく帰宅していたところ、突然声をかけられて振り向いたところ、外国に住んでいるはずの幼なじみがいてびっくり。小中学校が一緒で、研修医のときに同じ病院で研修したので十何年に一回は再開している計算ですが…夏休み期間で日本に帰っているとのこと。こんな偶然びっくりですが、天文学的確率…というわけでもないのでしょうか。
音楽での偶然性はジョン・ケージという戦後に活躍した現代作曲家(この言葉は20世紀的な観点からのです)が提唱していますが、そんな「偶然性の音楽」には興味がなく、ジャズでいうところの「即興(インプロヴィゼーション)」が相応しいかな?インプロヴィゼーションというとかつてビル・エヴァンスがマイルス・デイヴィスのアルバムのライナーノーツに「ジャズとインプロヴィゼーション」という文章を寄せていて、その中で「日本絵画」を「インプロヴィゼーション」と類推するという内容を思い出します。そんなビル・エヴァンスのアルバムでは《アローン(アゲイン)》はインプロヴィゼーションにあふれた名演だと思います。リリカルでありつつもささやかな咆哮と即興性にあふれたピアノ・ソロはとても心地よい時間を与えてくれます。
音楽での偶然性はジョン・ケージという戦後に活躍した現代作曲家(この言葉は20世紀的な観点からのです)が提唱していますが、そんな「偶然性の音楽」には興味がなく、ジャズでいうところの「即興(インプロヴィゼーション)」が相応しいかな?インプロヴィゼーションというとかつてビル・エヴァンスがマイルス・デイヴィスのアルバムのライナーノーツに「ジャズとインプロヴィゼーション」という文章を寄せていて、その中で「日本絵画」を「インプロヴィゼーション」と類推するという内容を思い出します。そんなビル・エヴァンスのアルバムでは《アローン(アゲイン)》はインプロヴィゼーションにあふれた名演だと思います。リリカルでありつつもささやかな咆哮と即興性にあふれたピアノ・ソロはとても心地よい時間を与えてくれます。
2015年7月8日水曜日
いちばん美しいピアノ曲はなに?
梅雨空が続いています。クリニックは混んだり、空いてたり読めない状況です。のんびりいきましょう。いちばん美しいピアノ曲(クラシック)は?と聞かれると答えるのが難しいのですが、全体的な雰囲気がよいのと、ひとつの旋律だけでなく曲全体が美しくまとまっている曲…と考えると、最近のお気に入りはプーランクの《メランコリー》です。
プーランクは20世紀初頭から中期に活躍したフランスの作曲家で、フランス6人組と呼ばれるグループの中で一番有名なひとでもあります。「フランスのモーツァルト」(フレーズだけは「浪速のモーツァルト」キダ・タロー先生に似てますが…)とも言われ、洒脱な曲が多く、ヒッチコック監督の「ロープ」という映画でも3つの常動曲が使用されています。この「ロープ」という映画は1948年当時としては画期的なゲイを示唆する描写が多く、さすがヒッチコックとニヤリとさせられます。
プーランクはちょっとうるさくって不協和音があって聴きづらい曲とすごく甘くてとろけるような曲の落差が激しいのですが、《メランコリー》は6分間を通して同じフレーズを転調しながら漂うように甘美な音色を奏でるのですが、長調なのに全体的には悲しげな曲調になっています。これはプーランクの親戚・友人の死や第2次世界大戦の暗い影を反映しているとも言われますがどうなのでしょうか?
ポール・クロスリー、エリック・ル・サージュ、アレクサンドル・タローいずれも甲乙つけがたい名演ですが、ドビュッシーやラベルではさらりと即物的な印象のピアノを聴かせるポール・クロスリーの思いの外しっとりした演奏が最近のお気に入りです。
プーランクは20世紀初頭から中期に活躍したフランスの作曲家で、フランス6人組と呼ばれるグループの中で一番有名なひとでもあります。「フランスのモーツァルト」(フレーズだけは「浪速のモーツァルト」キダ・タロー先生に似てますが…)とも言われ、洒脱な曲が多く、ヒッチコック監督の「ロープ」という映画でも3つの常動曲が使用されています。この「ロープ」という映画は1948年当時としては画期的なゲイを示唆する描写が多く、さすがヒッチコックとニヤリとさせられます。
プーランクはちょっとうるさくって不協和音があって聴きづらい曲とすごく甘くてとろけるような曲の落差が激しいのですが、《メランコリー》は6分間を通して同じフレーズを転調しながら漂うように甘美な音色を奏でるのですが、長調なのに全体的には悲しげな曲調になっています。これはプーランクの親戚・友人の死や第2次世界大戦の暗い影を反映しているとも言われますがどうなのでしょうか?
ポール・クロスリー、エリック・ル・サージュ、アレクサンドル・タローいずれも甲乙つけがたい名演ですが、ドビュッシーやラベルではさらりと即物的な印象のピアノを聴かせるポール・クロスリーの思いの外しっとりした演奏が最近のお気に入りです。
2015年7月2日木曜日
梅雨の日のピート・ジョリー
6月は200名を超える新規受診の方々がいらしていただき、ようやくクリニックらしくなってきたかなと思っていたところ…今日はいつも以上にのんびりです。なでしこジャパンの試合もあったし、天気も悪いし…などと考えるのはやめておきます。
今年の梅雨は梅雨らしく(?)、小雨のぐずついた天気が続いています。そんな日のBGMはどうしようかと考えてしまうのですが、ピート・ジョリーの軽妙で明るいピアノが良いのではと"Sweet September"というアルバムなどをかけています。ピート・ジョリーは、ウエストコースト・ジャズと呼ばれる西海岸で演奏されていた白人系ジャズの代表的なピアニストで、かつては「幻のAVA盤」と呼ばれたらしいピアノ・トリオ盤です(いまだとApple Musicなどでも聴けます)。このアルバムから聞こえる音は、あらゆる点で輝いていていた1950年代のアメリカを想起させる明るい響きと懐かしさが混在して心地よい時間を与えてくれます。
今日の午後に期待しましょう。
2015年6月27日土曜日
医療機関とJASRACとマルグリュー・ミラー
今年の6月はブログを書くことができないまま終わろうとしてます。7月は少しでも多くかけるように…なるでしょうか?
最近の気になった話題の一つにJASRACの使用料未払いに対する法的措置がありました。日本では店舗でCDや配信音源などの録音音源をBGMとして使用する際、JASRAC(日本音楽著作権協会)に使用料を払わないといけないという取り決めがあるのですが、今月に入り使用料未登録の店舗・施設に民事調停の法的措置を取ったというニュースが流れて俄然注目を集めました。医療機関で流すBGMも使用料が必要かというと…福祉・医療機関はいまのところ教育機関とともに「使用料を免除する施設」であるため必要ないのですが、クリニックは使用料が必要なのかな?とサイトを確認してしまいました。クリニックのBGMについてブログに書いてきているので、この使用料問題がどうなっていくのか気になるところです。
音楽に話題を変えると、大好きなピアニスト・マルグリュー・ミラーの命日が5月29日だったことをすっかり忘れていて、今頃になって思い出したかのように彼のアルバムを聴いてる毎日です。最近良く聴いているのは、2000年に入ってからマルグリュー・ミラーのアルバムをコンスタントに出してきたMAXJAZZレーベルの2005年作品で、アメリカ西海岸のライブスポットYoshi's(名前の通り日本人経営のライブハウスです)でのキレキレのライブ第2弾(LIVE AT YOSHI'S VOLUME 2)です。1曲目の《Joshua》から切れ味鋭くも音がとてもきれいで粒立ちの良いピアノを聴かせてくれます。ライブでのマルグリューは大きな背中から湯気が立ち昇るほどの熱気と風貌から想像できないような繊細なタッチと美しい旋律を奏でていたのを思い出させます。5曲目《One's own room》のようなコンテンポラリー的なものでも聴きやすく、ロバート・グラスパーの最新アルバムに通じる歌謡性を感じます。
2015年6月9日火曜日
雨の日のアン・バートン
先週土曜日にカルテ番号が2000番に到達しました。まだまだゆっくりとした歩みですが、1年2か月で到達できたことに感謝しています。これからも丁寧な診療を心がけたいと思います。
5月の暑かった日々が一段落…という間もなく梅雨入りしました。最近はいろいろな年代のひとにも聴きやすいBGMをと考えて選曲していますが、雨になるとついつい選びたくなるのはアン・バートンです。おそらく「雨の日と月曜日は」というカーペンターズの曲をアレンジしたアルバム(タイトルも「雨の日と月曜日は」)のイメージなのかもしれないのですが、アン・バートンのしっとりとしたバラードは雨の日にぴったりなのです。
今日のBGMは彼女の初期作品を流しています。同郷(オランダ)のルイス・ヴァン・ダイクのピアノはとても繊細で、アン・バートンの低い声でささやくような歌声と絶妙に絡み合います。こんな雨の日はアン・バートンのゆったりとしたバラードが心地よいです。
5月の暑かった日々が一段落…という間もなく梅雨入りしました。最近はいろいろな年代のひとにも聴きやすいBGMをと考えて選曲していますが、雨になるとついつい選びたくなるのはアン・バートンです。おそらく「雨の日と月曜日は」というカーペンターズの曲をアレンジしたアルバム(タイトルも「雨の日と月曜日は」)のイメージなのかもしれないのですが、アン・バートンのしっとりとしたバラードは雨の日にぴったりなのです。
今日のBGMは彼女の初期作品を流しています。同郷(オランダ)のルイス・ヴァン・ダイクのピアノはとても繊細で、アン・バートンの低い声でささやくような歌声と絶妙に絡み合います。こんな雨の日はアン・バートンのゆったりとしたバラードが心地よいです。
2015年4月6日月曜日
4月になりました - Xavier Davis Trio
4月になりました。クリニックも開院してから無事に1周年を迎えることが出来ました。これもひとえに、受診してくれた患者さんや優しく支えてくれた家族・スタッフのおかげです。これからもゆっくりとひとりひとりのために丁寧な診察を心がけていきたいと思っています。また今月から美容外来(私は美容が全くわからないので妻が診察します)ができたので、これまで以上に“皮ふケア”ができるクリニックになることを期待しています。
4月のBGMは午前・午後ともにジャズにしました。先日、ほぼ1年ぶりにに受診された患者さんに「ここはいつもジャズが流れていていいですね」と言われたときはとても嬉しく思いました。これからも心地よい音楽の流れる待合室になるようにしたいと思います。クラシック(R&B、ボサ・ノヴァなども)などを集中的に流すことも考えています。
Xavier Davis(ザヴィエル・デイヴィス)は1971年ミシガン州生まれのピアニスト。サイドマンとしてニコラス・ペイトンやマーク・ターナーをはじめ、デヴィッド・ワイスなどの作品に名を連ねていますが、リーダー作はこの《Innocence of Youth》(2002年録音)だけのようです。ザヴィエル・デイヴィスがマルグリュー・ミラーにそっくりな演奏スタイルなのは、彼を見出したのがマルグリューであり、マルグリューをアイドルとして慕っているからとも言われます。このアルバムのイントロである"The Message"の流麗なピアノ・ソロだけでも彼の素晴らしさがわかります。3曲目の"Milk Wit A Koolaid Chaser "や"Milestones"などは完全にマルグリュー・ミラーであり、完コピなのかと思うほどです。"The Day Will Come"や"Innocence of Youth"などでは彼ならではのリリカルで知的なピアノを堪能することができます。
2015年3月18日水曜日
John Coltrane - Lush Life
久々のブログ更新です。アルバム冒頭からジョン・コルトレーンの野太くセンチメンタルなソロが朗々と奏でられるこの盤は、後年のスピリチュアルなコルトレーンが苦手な人でも楽しめる1枚です。コルトレーンというと(良い意味での)黒さが全面に溢れており、「ジャズってこんな感じ」という漠然とした答えを導き出してくれるジャズ界の巨人です。ただ、だんだんとスピリチュアルで難解なフリー・ジャズに傾倒してしまうため、アルバムをたくさん持っていても手に取るアルバムが限られてしまうひとりでもあります。
1曲目《Like Someone In Love》から3曲目《There's Slow Blues》(LPでいうところのA面)はピアノレストリオであり、1957、8年あたりの録音と思えないほど臨場感あふれるコルトレーンのテナーが魅力です。4曲目の表題曲である《Lush Life》からはレッド・ガーランドのピアノが参加し、コルトレーンも甘くセンチメンタルな演奏を聴かせます。
A面B面という表現はレコードにしか通用しない表現ですが、盤をひっくり返すと雰囲気の違う演奏になるなんてとても素敵な選曲だなと思います。このような選曲から、今年のグラミーでプリンスが「皆さん“アルバム”って覚えていますか?“アルバム”って大事なものなんです」とスピーチしたことを思い出しました。いまはストリーミングなどで気に入った曲だけピックアップでき便利なのですが、取捨選択するのではアルバムのコンセプトだけでなく「演奏(録音)された時代や背景を反映している空気」というものもわからなくなるので好きではありません。
このアルバム...というよりコルトレーンは秋〜冬になる時期に流したほうが雰囲気あったかもしれないのですが、ともあれ午後の待合室を落ち着かせてくれる素敵な1枚です。
2014年2月5日水曜日
好きな音楽
音楽に関しては雑食です。好きなジャンルはあるけれど、良いと思ったものはなんでも聞いてきました。小学生の頃から洋楽やクラシック(習い事の関係もあります)が好きで、中学生になってジャズ、レゲエ、R&Bが好きになりました。それからと言うもの、ハウスだテクノと形から入ったり、やっぱりロック、クラシック、ジャズが良いと思ったり…という優柔不断な音楽嗜好は、簡単にダウンロードできるiTunesの時代になってひどくなっているかも。でも、ライブに行くのはジャズが一番多いです。
クリニックはおもにクラシックとジャズが中心で、季節ごとにボサノバとか心地よい音楽をかけたいなと思ってます。クリニックでお気に入りの曲をみつける…そんなこともありでしょう。それには音楽だけでなく、心地良い空間を作っていかないといけないですね。限られた条件のなか、院長のセンスが問われます。がんばります。
2014年2月2日日曜日
BGM
クリニックで流す音楽ってどんなものがよいかいつも考えているけど、なかなか難しい。好きな曲、ジャンルを流すだけではダメだというのはわかるんだけど…できるだけ心地よい音楽で診察の妨げにならないものってなんだろう?これから試行錯誤していきます。
日替わり、午前午後でジャンル変えるとかいろいろ考えてるんですが…どうなんでしょう?あと、できるだけアルバムの楽曲はそのまま流したいな、コンピは避けたいな、なんて思ってます。ただ思っているだけです。
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