1曲目《Like Someone In Love》から3曲目《There's Slow Blues》(LPでいうところのA面)はピアノレストリオであり、1957、8年あたりの録音と思えないほど臨場感あふれるコルトレーンのテナーが魅力です。4曲目の表題曲である《Lush Life》からはレッド・ガーランドのピアノが参加し、コルトレーンも甘くセンチメンタルな演奏を聴かせます。
A面B面という表現はレコードにしか通用しない表現ですが、盤をひっくり返すと雰囲気の違う演奏になるなんてとても素敵な選曲だなと思います。このような選曲から、今年のグラミーでプリンスが「皆さん“アルバム”って覚えていますか?“アルバム”って大事なものなんです」とスピーチしたことを思い出しました。いまはストリーミングなどで気に入った曲だけピックアップでき便利なのですが、取捨選択するのではアルバムのコンセプトだけでなく「演奏(録音)された時代や背景を反映している空気」というものもわからなくなるので好きではありません。
このアルバム...というよりコルトレーンは秋〜冬になる時期に流したほうが雰囲気あったかもしれないのですが、ともあれ午後の待合室を落ち着かせてくれる素敵な1枚です。
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